ブンゴウサーチ

奪われてなるものか――施療病院にて――

今野大力

『奪われてなるものか』は青空文庫で公開されている今野大力の短編作品。628文字で、おおよそ5分以内で読むことができます。
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5分以内
628文字
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書出

君はおれの肩を叩いてきいてくれる 君は親しげなまざしでおれを見る おお君はいつもおれの同志 おれたちの力強い同志 しかしおれには今 君の呼びかけたらしい言葉がきこえない 君はどんなにかあの懐かしい声で 留置場からここへ帰って来たおれに 久方ぶりで語ってくれたであろうに おれには君の唇の動くのが見えるだけだ パクパクとただパクパクと忙しげな 静けさ、全く静けさイライラする静けさ 扉の外に佇っていた

初出「文学新聞」1932(昭和7)年7月15日
底本日本プロレタリア文学集・39 プロレタリア詩集(二)
表記
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