捨吉

三好十郎

『捨吉』は青空文庫で公開されている三好十郎の短編作品。9,897文字で、おおよそ30分以内で読むことができます。

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30分以内9,897文字
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書き出し

星はない 風もたえた 人ごえも消えた この驛を出た列車が すでに山の向うで 溜息を吐く 白いフォームに[#「フォームに」は底本では「フオームに」] おれと おれの影と 驛長と 驛長の影と それだけがあつた 見はるかす高原は まだ宵なのにシンシンと 太古からのように暗い その中で秋草が ハッカの匂いをさせて寢ていた 海拔三千尺の 氣壓の輕さが おれの肺から 空氣をうばつて 輕い目まい このプラッ

初出「放送文化」日本放送協會、1958(昭和33)年5月号
底本三好十郎の仕事 第三巻
表記
旧字新仮名