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風に飜へる梧桐の実

牧野富太郎

『風に飜へる梧桐の実』は青空文庫で公開されている牧野富太郎の短編作品。1,524文字で、おおよそ5分以内で読むことができます。
文字数
5分以内
1,524文字
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書出

秋風起つて白雲飛ぶと云ふ時節ともなると、アヲギリ(幹、枝が緑色ながら云ふ)即ち梧桐の種子を着けた其舟状の殻片が、其母枝を離れ翩々として風に乗じ遠近の地に墜ちる、是れは何も珍らしい事ではないが、其れが眼前に落ち散らばつてゐる処を見ると、其殻片が頗る大きな丈けに何となく今更ながら其認識を新たにすることを禁じ得ない私の庭に一本のアヲギリがあつてアヲニョロリの名の如くニョロリと緑の直幹を立て、車輻の様に枝椏を張り傘蓋の如く大形の緑葉を着け、亭々として空高く聳立してゐて其れに房々と多くの...

初出
底本日本の名随筆 別巻14 園芸
表記
新字旧仮名
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