服部之総の全作品

幕末外交に関する法学的研究には、尾佐竹氏以下の権威的著作があって、われわれの場所でないのだが、幕末外交問題の本質が通商にあるように、幕末維新史の鍵もまた貿易に、さらにそれが、徳川末期以後次第に国民化されつつあったわが経済組織におよぼした決定的影響のなかに、求められる。

桜井家の媒酌としてその村に行ってからことし九年ぶりになる。

太平洋をはじめて汽船が横断したのは――といった問題を、ひと頃しきりに調べたことがあった。

さてアメリカだ。

黒田清隆の伝記があれば、だれか教えていただきたい。

鉄で船を造ることは、技術的には、ヘンリー・コートが鉄板製造法を発明したことで（十八世紀末）可能になった。

中国制覇の足がかり阿片戦争（一八四〇―四二）で中国が開国した後は極東の一角日本を開けばこれで旧文明国を資本主義世界に開放する事業が完成するわけである。

幕末に取材する大衆文芸は一部志士文芸（？）でもあるが、志士活動の基底にどんな社会経済が横たわっているのかはっきりしないものが多い。

清河八郎夫れ非常の変に処する者は、必らず非常の士を用ふ――。

徳川時代の司法権は各藩がもっている。

スローガン「尊王攘夷」はなにも最初から討幕を内容としたものではなかった。

「攘夷」は幕末日本の専売ではない。

著述家慶応二年丙寅初冬付『西洋事情』初篇は出版後一年間の売捌高だけで、正版偽版とりまぜ十万部の上にのぼった。

徳川時代を通じておこなわれていた「武鑑」について、いまの若い人たちは知ることが少いであろう。

歴研（歴史学研究会）北海道支部に日程は一任して、上野発十月十五日、帰着二十七日ということで、生れてはじめて北海道にでかけた。

この夏配達された、さる新聞の家庭用付録に「オカネの値打ち」という記事にあわせて、明治から昭和にいたる五十銭銀貨の実物大の図譜が載っていた。

蓮月尼の陶器には、にせものが多い。

How much dollar? を「ハ・マ・チ・ド・リ」と、居留地の人力車夫仲間できめてしまう。