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紙幣

小熊秀雄

『紙幣』は青空文庫で公開されている小熊秀雄の短編作品。4,570文字で、おおよそ30分以内で読むことができます。
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30分以内
4,570文字
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書出

紙幣よ、 貴様のためにこの私の詩人が 歌ふのを光栄と思へ、 だが貴様はいふだらう、 ――何を生意気な貧乏詩人め、   イノシシとは一体   十円札か百円札か知つてゐるか さういはれてみると一寸胴忘れした 然しそんなことが何の恥辱だらう、 紙幣の図柄をゆつくり 見て居る暇もない程に 貴様はいつも私の右から入つて左へ抜ける まるで駈足だ。

初出「先駆」1930(昭和5)年9月
底本新版・小熊秀雄全集第一巻
表記
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