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土浦の川口

長塚節

『土浦の川口』は青空文庫で公開されている長塚節の短編作品。3,924文字で、おおよそ10分以内で読むことができます。
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10分以内
3,924文字
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書出

冬とはいふものゝまだ霜の下りるのも稀な十一月の十八日、土浦へついたのはその夕方であつた、狹苦しい間口でワカサギの串を裂いて居る爺はあるが、いつもの如く火を煽つてはワカサギを燒いて居るものは一人も見えないので物足らず淋しい川口を一廻りして、舟を泛べるのに便利のよさゝうな家をと思つて見掛けも見憎くゝない三階作りの宿屋へ腰を卸した、導かれて通つたのは三階ではなくて、風呂と便所との脇を行止まりの曲つた中二階のどん底である、なまめいた女が代り/\に出て來る、風呂から上つて窓に吹き込む風に吹かれつゝ...

初出「馬醉木 第九號」1904(明治37)年2月27日
底本長塚節全集 第二巻
表記
旧字旧仮名
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