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才丸行き

長塚節

『才丸行き』は青空文庫で公開されている長塚節の短編作品。4,193文字で、おおよそ30分以内で読むことができます。
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30分以内
4,193文字
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書出

起きて見ると思ひの外で空には一片の雲翳も無い、唯吹き颪が昨日の方向と變りがないのみである、滑川氏の案内で出立した、正面からの吹きつけで體が縮みあがるやうに寒い、突ンのめるやうにしてこごんだ儘走つた、炭坑會社の輕便鐵道を十町ばかり行つて爪先あがりにのぼる、左は崖になつて、崖の下からは竹が疎らに生えて居る、木肌の白い漆がすい/\と立ち交つて居る、漆の皮にはぐるつとつけた刄物の跡が見える、山芋の枯れた蔓が途中から切れた儘絡まつて居る、小豆畑といふ小村へ來た、槎※たる柿の大木...

初出「馬醉木 第二卷第三號」1905(明治38)年5月29日
底本長塚節全集 第二巻
表記
旧字旧仮名
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