さらわれた兄よ――残された妹の歌――
槙本楠郎
『さらわれた兄よ』は青空文庫で公開されている槙本楠郎の短編作品。712文字で、おおよそ5分以内で読むことができます。
文字数 | 5分以内 712文字 |
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書き出し書出 | まるで野中の鶏小舎を襲う野犬のように奴等は一言も吠えず踏込んで来た寝ていた兄はガバとはね起き突嗟に雨戸を押倒して奴等を踏みつけたけれど奴等は一人ではなかったすぐ躍りかかる奴があった兄は組み敷かれた兄は引っ立てられた奴等は遂に兄をかっぱらって行ってしまったのだそれは今朝の五時頃だったうす明りの今藁屋根に下る牙のような氷柱はしずかにとけて唇を指ではじくようなしめっぽいやわらかい音を立てて... |
初出 | 「戦旗」全日本無産者芸術連盟本部、1930(昭和5)年3月臨時増刊号 |
底本 | 日本プロレタリア文学集・39 プロレタリア詩集(二) |
表記 | 新字新仮名 |
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