当世二人娘
清水紫琴
『当世二人娘』は青空文庫で公開されている清水紫琴の中編作品。18,411文字で、おおよそ60分以内で読むことができます。
文字数 | 60分以内 18,411文字 |
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書き出し書出 | その女学校これはこれはの顔ばかりと、人の悪口にいひつるは十幾年の昔にて、今は貴妃小町の色あるも、納言式部の才なくてはと、色あるも色なきも学びの庭へ通ふなる、実に有難の御世なれや、心利きたる殿原は女学校の門に斥候を放ちて、偵察怠りなきもあり、己れ自ら名のり出て、遠からむものは音にも聞け、近くは寄りて眼にも見よと、さすがにいひは放たねど、学識の高きを金縁の眼鏡にも示し、流行に後れぬ心意気を、洋服の仕立襟飾りの色にも見せて、我と思はむ姫あらばと、心に喚はりたまふもありとかや。 |
初出 | 「世界之日本」1897(明治30)年3月 |
底本 | 紫琴全集 全一巻 |
表記 | 新字旧仮名 |
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