ブンゴウサーチ

うらむらさき

樋口一葉

『うらむらさき』は青空文庫で公開されている樋口一葉の短編作品。2,827文字で、おおよそ10分以内で読むことができます。
文字数
10分以内
2,827文字
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書出

上夕暮の店先に郵便脚夫が投込んで行きし女文字の書状一通、炬燵(こたつ)の間の洋燈のかげに讀(よ)んで、くる/\と帶(おび)の間へ卷收(まきをさ)むれば起居に心の配られて物案じなる事一通りならず、おのづと色に見えて、結構人の旦那どの、何うぞしたかとお問ひのかゝるに、いえ、格別の事でも御座りますまいけれど、仲町の姉が何やら心配の事が有るほどに、此方から行けば宜いのなれど、やかましやの良人が暇といふては毛筋ほども明けさせて呉れぬ五月蠅さ、夜分なりと歸(かへ)りは此方から送らせうほど...

初出「新文壇 二號」1896(明治29)年2月5日
底本樋口一葉全集第二卷
表記
旧字旧仮名
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