暗夜
樋口一葉
『暗夜』は青空文庫で公開されている樋口一葉の中編作品。20,103文字で、おおよそ60分以内で読むことができます。
文字数 | 60分以内 20,103文字 |
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書き出し書出 | (その一)取まわしたる邸の廣さは幾ばく坪とか聞えて、閉ぢたるまゝの大門は何年ぞやの暴風雨をさながら、今にも覆へらんさま危ふく、松はなけれど瓦に生ふる草の名の、しのぶ昔しはそも誰れとか、男鹿やなくべき宮城野の秋を、いざと移したる小萩原ひとり錦をほこらん頃も、觀月のむしろに雲上の誰れそれ樣、つらねられける袂(たもと)は夢なれや、秋風さむし飛鳥川の淵瀬こゝに變はりて、よからぬ風説は人の口に殘れど、餘波いかにと訪ふ人もなく、哀れに淋しき主從三人は、都會ながらの山住居にも似たるべし... |
初出 | その一~その四「文學界 一九号」文學界社雜誌社、1894(明治27)年7月30日<br>その五~その六「文學界 二一号」文學界社雜誌社、1894(明治27)年9月30日<br>その七~その十二「文學界 二三号」文學界社雜誌社、1894(明治27)年11月30日 |
底本 | 文學界 一九号、二一号、二三号 |
表記 | 旧字旧仮名 |
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