雨の夜
樋口一葉
『雨の夜』は青空文庫で公開されている樋口一葉の短編作品。655文字で、おおよそ5分以内で読むことができます。
文字数 | 5分以内 655文字 |
人気 | 0PV |
書き出し書出 | 庭の芭蕉(ばせを)のいと高やかに延びて、葉は垣根の上やがて五尺もこえつべし、今歳はいかなれば斯(か)くいつまでも丈のひくきなど言ひてしを夏の末つかた極めて暑かりしに唯一日ふつか、三日とも数へずして驚くばかりに成ぬ、秋かぜ少しそよ/\とすれば端のかたより果敢なげに破れて風情次第に淋(さび)しくなるほど雨の夜の音なひこれこそは哀れなれ、こまかき雨ははら/\と音して草村がくれ鳴こほろぎのふしをも乱さず、風一しきり颯(さつ)と降くるは彼の葉にばかり懸るかといたまし。 |
初出 | |
底本 | 日本の名随筆43 雨 |
表記 | 新字旧仮名 |
※「人気」は青空文庫の過去10年分のアクセスランキングを集計した累計アクセス数から算出しています。