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夢鬼

蘭郁二郎

『夢鬼』は青空文庫で公開されている蘭郁二郎の長編作品。66,781文字で、おおよそ1時間〜で読むことができます。
文字数
1時間〜
66,781文字
人気
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書出

辺鄙な、村はずれの丘には、いつの間にか、華やかな幕を沢山吊るした急拵(ごしら)えの小屋掛が出来て、極東曲馬団の名がかけられ、狂燥なジンタと、ヒョロヒョロと空気を伝わるフリュートの音に、村人は、老も若きも、しばし、強烈な色彩と音楽とスリルを享楽し、又、いつの間にか曲馬団が他へ流れて行っても、しばらくは、フト白い流れ雲の中に、少年や少女の縊(くび)れた肢体を思い出すのである。

初出
底本火星の魔術師
表記
新字新仮名
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