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文字のある紙片

宮本百合子

『文字のある紙片』は青空文庫で公開されている宮本百合子の短編作品。2,537文字で、おおよそ10分以内で読むことができます。
文字数
10分以内
2,537文字
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書出

「あの事があってから、もう三ヵ月になる。けれども、私の心持は当時にくらべてちょっとも明るくなっていない。それどころか、却って陰鬱さを増しているとさえ云える有様だ。今日のような天気の時には、特に堪らない。風も吹かず、日光も照らず、どんより薄ぐもりの空から、蒸暑い熱気がじわじわ迫って来る処に凝っと坐り、朝から晩まで同じ気持に捕えられていると、自分と云うものの肉体的の存在が疑わしいようになる――活きて、

初出「文芸春秋」1924(大正13)年9月号
底本宮本百合子全集 第十七巻
表記
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