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華やかな罪過

平林初之輔

『華やかな罪過』は青空文庫で公開されている平林初之輔の中編作品。17,519文字で、おおよそ60分以内で読むことができます。
文字数
60分以内
17,519文字
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書出

「貴方が人殺しをして、生々しい血糊で汚れた手を妾(わたし)に見せておまけに『俺は盗みもしてきたんだよ、つい一分前まで、仲よく話していた友達を、いきなり絞め殺して、そいつの懐から、ほらこの通り蟇口をぬきとってきたんだ』なんて言いながら、ほんとうに血だらけな手でその蟇口を自慢そうに妾の眼の前へぶら下げてみせたとしたら、妾は貴方を憎めるでしょうか?怖気をふるって貴方から逃げられるでしょうか?いいえ、なおさら妾は貴方が好きでたまらなくなるにきまってるわ。

初出「朝日 一巻九号」1929(昭和4)年9月号
底本平林初之輔探偵小説選Ⅰ〔論創ミステリ叢書1〕
表記
新字新仮名
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