五月の雉
蔵原伸二郎
『五月の雉』は青空文庫で公開されている蔵原伸二郎の短編作品。2,041文字で、おおよそ10分以内で読むことができます。
| 文字数 | 10分以内 2,041文字 |
| 人気 | 320PV |
| 書き出し書出 | 五月の雉 風の旅びとがこつそり尾根道を通る ここはしずかな山の斜面 一匹の雌きじが 卵を抱いている 青いハンカチのように 夕明かりの中を よぎる蝶 谷間をくだる せせらぎの音 ふきやもぐさの匂いが 天に匂う (どこからも鉄砲の音などきこえはしない) 一番高い山の端に陽がおちる 乳いろのもやが谷々からのぼつてくる やがて、うす化粧した娘のような新月が もやの中からゆつくりと顔を出す ――今晩は、 |
| 初出 | 風の中で歌う空つぽの子守唄「詩学」1955(昭和30)年1月号 |
| 底本 | 近代浪漫派文庫 29 大木惇夫 蔵原伸二郎 |
| 表記 |
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