冬のしぶき――母親から獄中の息子に――
伊藤信二
『冬のしぶき』は青空文庫で公開されている伊藤信二の短編作品。539文字で、おおよそ5分以内で読むことができます。
文字数 | 5分以内 539文字 |
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書き出し書出 | お前が工場の帰りに買ってきてくれたこの櫛はもうあっちこっち歯がこぼれた梳(す)いたヌケ毛の一本一本はお前がオッカサンとよばってくれるその日がまためぐってくる年月のながさをヒトツキフタツキとかぞえさせるお前からの夏のタヨリを帯にはさんでいる――六十二にもなったわたしのふしぶしはズキンズキンズキン凍れにたたかれてヒビがひろがってゆくお前がアバシリの刑務所に... |
初出 | 「プロレタリア文學 第一卷第一號」日本プロレタリア作家同盟、1932(昭和7)年1月 |
底本 | 日本プロレタリア文学集・39 プロレタリア詩集(二) |
表記 | 新字新仮名 |
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