ブンゴウサーチ

冬のしぶき――母親から獄中の息子に――

伊藤信二

『冬のしぶき』は青空文庫で公開されている伊藤信二の短編作品。434文字で、おおよそ5分以内で読むことができます。
文字数
5分以内
434文字
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書出

お前が工場の帰りに買ってきてくれた この櫛は もう あっちこっち 歯がこぼれた 梳いたヌケ毛の一本一本は お前がオッカサンとよばってくれる その日がまためぐってくる年月のながさを ヒトツキ フタツキ と かぞえさせる お前からの夏のタヨリを 帯にはさんでいる―― 六十二にもなったわたしのふしぶしは ズキン ズキン ズキン 凍れにたたかれて ヒビがひろがってゆく お前がアバシリの 刑務所におくら

初出「プロレタリア文學 第一卷第一號」日本プロレタリア作家同盟、1932(昭和7)年1月
底本日本プロレタリア文学集・39 プロレタリア詩集(二)
表記
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