回顧と展望
高木貞治
『回顧と展望』は青空文庫で公開されている高木貞治の短編作品。10,167文字で、おおよそ30分以内で読むことができます。
文字数 | 30分以内 10,167文字 |
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書き出し書出 | 回顧は老人の追想談になるのが普通で,それは通例不確かなものであることが世間の定評であるようであります.それは当然不確かになるべきものだと考えられます.遭遇というか閲歴というか,つまり現在の事だって本当には分らない.それは当然主観的である.しかも過去は一たび去って永久に消滅してしまう.そうしてそれを回想する主観そのものも年とともに易って行くのであるから,まあ大して当てになるものではない.これは一般にそうだろうが,今私の場合は確かにそうなのだから,むしろ始めから,自己中心に,主観的に,過去を... |
初出 | 「改造」1941(昭和16)年 |
底本 | 近世数学史談 |
表記 | 新字新仮名 |
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