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死神

岡崎雪声

『死神』は青空文庫で公開されている岡崎雪声の短編作品。1,962文字で、おおよそ5分以内で読むことができます。
文字数
5分以内
1,962文字
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書出

往来で放歌をすることは、近頃大分厳ましくなったが、或(ある)意味からいうと許してもよさそうなものだ、というのは、淋しい所などを夜遅く一人などで通る時には、黙って行くと、自然下らぬ考事などが起って、遂には何かに襲われるといったような事がある、もしこの場合に、謡曲の好きな人なら、それを唸(うな)るとか、詩吟を口吟むとか、清元をやるとか、何か気を紛らして、そんな満らぬ考を打消すと、結局夢中にそんな所も過ぎるので、これ等は誠によいことだと自分は思う。

初出
底本文豪怪談傑作選・特別篇 百物語怪談会
表記
新字新仮名
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