新疆所感
日野強
『新疆所感』は青空文庫で公開されている日野強の短編作品。4,375文字で、おおよそ30分以内で読むことができます。
文字数 | 30分以内 4,375文字 |
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書き出し書出 | 予が嘉峪関をこえて新疆を横断し、カラコルム山脈を超越しおわりしまでに費したる日数、約三百日、その間親しく天山山脈に沿う高原を視察し、タリム河に瀕する平野を踏査して、耳聞目睹したる結果は、五十八万方マイルの大宝庫、古来蛮雲のとざす所となりて、空しく草莱(そうらい)に委し、二百万の生霊、なお瘴烟(しょうえん)の裡に包まれて、いたずらに混沌として睡眠するの憐むべき情態にあると同時に、新疆の運命すこぶる悲観すべきものあるに想到し、うたた感慨に堪えざるなり。 |
初出 | |
底本 | 伊犂紀行 第二部 地誌の部 |
表記 | 新字新仮名 |
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