両面競牡丹

酒井嘉七

『両面競牡丹』は青空文庫で公開されている酒井嘉七の中編作品。12,362文字で、おおよそ60分以内で読むことができます。

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60分以内12,362文字
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書き出し

奈良坂やさゆり姫百合にりん咲き            ――常磐津『両面月姿絵』 一  港の街とは申しますものの、あの辺りは、昔から代々うち続いた旧家が軒をならべた、静かな一角でございまして、ご商売屋さんと申しますれば、三河屋さんとか、駒屋さん、さては、井筒屋さんというような、表看板はごく、ひっそりと、格子戸の奥で商売をされている様なお宅ばかり――それも、ご商売と申すのは、看板だけ、多くは、家

初出「ぷろふいる」ぷろふいる社、1936(昭和11)年12月号
底本幻の探偵雑誌1 「ぷろふいる」傑作選
表記
新字新仮名