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両面競牡丹

酒井嘉七

『両面競牡丹』は青空文庫で公開されている酒井嘉七の中編作品。13,160文字で、おおよそ60分以内で読むことができます。
文字数
60分以内
13,160文字
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書出

奈良坂やさゆり姫百合にりん咲き――常磐津『両面月姿絵』港の街とは申しますものの、あの辺りは、昔から代々うち続いた旧家が軒をならべた、静かな一角でございまして、ご商売屋さんと申しますれば、三河屋さんとか、駒屋さん、さては、井筒屋さんというような、表看板はごく、ひっそりと、格子戸の奥で商売をされている様なお宅ばかり――それも、ご商売と申すのは、看板だけ、多くは、家代々からうけついだ、財産や家宅をもって、のんびりと気楽にお暮しになって...

初出「ぷろふいる」ぷろふいる社、1936(昭和11)年12月号
底本幻の探偵雑誌1 「ぷろふいる」傑作選
表記
新字新仮名
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