10分以内で読める夢野久作の短編児童文学作品

チエ子さんは今年六つになる可愛いお嬢さんでした。

お天気が続いて、どこの田圃も水が乾上がりました。

露子さんは継子で、いつもお母さんからいじめられて泣いてばかりいました。

美代子さんは綺麗な可愛らしい児でしたが、ひとの口真似をするので皆から嫌われていました。

炭焼きの勘太郎は妻も子も無い独身者で、毎日毎日奥山で炭焼竈（がま）の前に立って煙の立つのを眺めては、淋しいなあと思っておりました。

五郎君はお菓子が好きでしようがありませんでした。

太郎さんはお父さまから銀色にピカピカ光る空気銃を一梃頂きました。

ヒイラ、フウラ、ミイラよミイラのおべべが赤と青そうしておかおが真黒け四つよく似たムクロージ五ついつまでねんねして六つむかしの夢を見て何千万何億年やっとこさあと眼がさめて九つことしはおめでとうとんだりはねたり躍ったりとうとう一貫借りました。

ちえ子さんは可愛らしい奇麗な児でしたが、勉強がきらいで遊んでばかりいるので、学校を何べんも落第しました。

むかしあるところに一人の欲ばりの坊さんがおりました。