青空文庫で公開されている室生犀星の児童文学全作品を、おすすめ人気順で表示しています。
「お姉さま、――」小さい弟は何時の間にか川べりの石段の上に腰をかけ、目高をすくっている姉に声をかけた。
そのころ私は不思議なこころもちで、毎朝ぼんやりその山を眺めていたのです。
それは古い沼で、川尻からつづいて蒼(あお)くどんよりとしていた上に、葦(あし)やよしがところどころに暗いまでに繁っていました。